各々が自分の持ち場でどう積極的に参画していくことができるか

 
特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター)の会報誌「NICEプレス」2008年11月号掲載のインタビュー記事です。エコデザインというのは、世界中の人々が一緒に公平に生きるために、環境効率を高める設計をする行為ですが、今回はその在り方について、浅いながらも自身の経験から感じていることを喋らせて頂きました。

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学生時代に「再転車(りてんしゃ)活用委員会」という自転車を社会に再定義するプロジェクトを開始され、現在もエコに関わる研究を進めたり大学で講義を行ったりされている若手研究者の津田和俊さんにお話をお伺いしました。

プロフィール:
津田和俊(つだ・かずとし)
1981年、岡山県新庄村生まれ。2008年、千葉大学大学院自然科学研究科多様性科学専攻修了、博士(工学)。現在、大阪大学大学院工学研究科特任研究員、千葉大学非常勤講師。萃点堂(Suitendo)主宰。専門は、資源循環およびサステナブルデザイン。www.tsudakazutoshi.com


―津田さんが考える「エコデザイン」とはどのようなものですか。

「再転車(りてんしゃ)活用委員会」として活動していていると、「自転車」を中心としてどんどん色んな人と繋がっていったんですね。そうやって立場が違う人達がお互いにできることを考えるっていいな、と思ったんです。

エコに関してもそうで、エコロジーというのは、本来は生物と環境のつながりや関係性を扱う学問分野ですよね。対象を個別に捉えるのではなく、全体のシステムの中での相互関係を捉えることが重要です。人間社会の場合も同じです。

現状では、人々の環境への関心は高まってきてはいますが、結局色々な主体が、色々なデータに基づいて、色々な予測をして、色々な持続可能な社会のシナリオを描いています。各主体が個別にそれぞれの未来像を描いている場合が多いという認識です。そうではなくて、各主体が互いの利害関係を理解し、ビジョンを共有して、連携して未来を描いていくことが大事であると考えています。


―具体的にはどのようなことでしょう。

例えば、先程ご紹介させて頂いたプロジェクトの一環として私が担当した「再転車と公共デザイン」という千葉大学の講義があります。ここでいうデザインとは、現在の社会システムを再考し、よりよく変革していくために、各主体が積極的に参画するプロセスと考えました。この講義では、自転車を一つの切り口として「持続可能な社会システムの再考」と「変革のための参画」を行うために、ふたつのアプローチを採用しています。

ひとつは、領域横断的なアプローチを試みる感覚を養うために、複数の学部にまたがる教員・行政・NPO関係者といった複眼的な視点を導入した講演です。もうひとつは、総合大学であることを活かし、様々な専門性を持つ学部・学科の学生が、ある特定の問題意識の下に集まってプロジェクト形成を行っていくためのグループワークです。

各主体がお互いの立場を理解して、まず受け入れる。その上で、社会の変革のために各々が自分の持ち場でどう積極的に参画していくことができるか。そこでは、現状の枠組みに縛られない関係性を創造することが重要となってくると思います。


―これからはどのようなことをされていく予定ですか?

私は基本的にはモノの流れを分析していきながら、それらと自然環境あるいは人間社会との関係性を考察し、地域社会のシナリオを描くことに取り組んでいきたいと考えています。その自身の専門性を高めながら、例えば都市と農村の地域連携、異なる主体間のパートナーシップやネットワーク形成をしていきたいと思っています。

現在、萃点堂という月一定例の勉強会を主宰しています。ぜひ気軽に参加していただけると嬉しいです。


―ありがとうございました。

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[1] 特定非営利活動法人NICE(日本国際ワークキャンプセンター)
  http://nice1.gr.jp/
[2] 萃点堂(Suitendo)
  http://www.suitendo.net/

補足:写真は今年8月に国際学会のため訪れたモントレー空港(Monterey Peninsula Airport)のギャラリーで、近くの小学校の子どもたちが描いた絵を集めた「Generation Green」というタイトルの展示の様子。


津田和俊 2008年11月1日

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