千葉大学における学生主体の環境マネジメントの原点


2005年1月27日、千葉大学は西千葉キャンパスを対象として、環境マネジメントシステム(Environmental Management Systems, EMS)の国際標準規格であるISO14001を認証取得した。その後、2005年12月には松戸および柏の葉キャンパス、2007年1月には亥鼻キャンパス(附属病院は対象外)に対象を拡げ、2007年1月22日付で千葉大学の主要4キャンパス全てにおいて認証取得している。

大学のISO14001 認証取得件数が少ない中で、文系分野と理系分野を擁する総合大学である千葉大学が、環境への取り組みを推進してISO14001を認証取得したことから、2006年にはISO 中央事務局の機関誌でも紹介された。

Japanese university sets ISO 14001 example for education sector
Not only the smokestack industries pollute ? universities do too. So Chiba University in Japan set about reducing the environmental impact of chemical waste from laboratory experiments, plus waste and energy use from everyday campus life, by implementing an ISO 14001-certified EMS.
(出典:ISO Central Secretariat, “ISO Management Systems”, Jan-Feb 2006, pp.39-43)


千葉大学の環境マネジメントは、環境方針にも挙げられている次の4項目を中心に推し進められている。

1. 総合大学としての特長を活かした環境教育・研究
2. 環境負荷の少ない緑豊かで安全なキャンパスづくり
3. 学生主体の環境マネジメントシステムの構築と運用
4. 地域社会に開かれた形での環境マネジメントシステムの実施
(出典:国立大学法人千葉大学, 『千葉大学環境報告書2005』, 2006, pp.6)

ここで特にユニークなのは、3行目の「学生主体の」という所である。大学における最重要の環境側面は、なんといっても学生である。いかに地球環境問題への関心や、環境マネジメントの経験や知識を持っている学生を育てて、社会に送り出すかが求められている。千葉大学では、環境ISO 学生委員会の学生が中心となって環境ISO 活動を行ったり、学生による自発的な環境プロジェクトを促進したり、これらの学生主体の取り組みは、リーディング・ケースとして、全国の大学から関心を集めているようである。


その学生主体の環境マネジメントの「原点」は、2002年3月30日に開催された「千葉大環境シンポジウム」にあるように思う。このシンポジウムは、大学における環境マネジメントシステムの導入啓発を目的として、学長裁量経費により行われたものである。しかし、環境保全委員会(当時)の教員1人の呼びかけに集まった学生有志12人が、企画から、出演交渉、取材、広報活動、資料作成のほとんどを担当した。当日には、『世界がもし100人の村だったら』の再話者で翻訳家の池田香代子さんの基調講演、環境チャリティー企画「水をきれいにしょう!苗木の里親キャンペーン」、パネルディスカッション「大学から環境を考える」などが行われた。

その後、シンポジウム実行委員会の学生は、教員と環境ISO学生委員会をつくったり、環境サークルを続けたり、新たな環境プロジェクトを立ち上げたり、それぞれのアプローチを模索しながら自主的な環境活動に取り組んでいった。

僕は当時学部4年で、社会人学生の方2人と「大学における環境ISO認証取得の期待効果」(2001)という研究をしていたことから、このシンポジウム実行委員会に参加した。シンポジウムでは、主にポスターや看板のデザイン、それから来場者に配布する絵本『千葉大がもし100人の村だったら』の制作を担当した。この時の体験は、今ある自分の「原点」にもなっている。


最後に、この千葉大シンポジウムに頂いた坂本龍一さんのメッセージを紹介したいと思う。ここには、自分の身体を「原点」にして始まった関心が、地球の全ての存在にまで行き着いてしまう、という坂本龍一さんの環境に対する捉え方が綴られてる。

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坂本龍一さんのメッセージ 2002年3月28日
千葉大のみなさん、こんにちは。坂本龍一です。
実行委員の方の熱心な依頼で、このような形で参加します。

今日は「環境」ということがテーマですね。
ぼくにとって環境というのは、どこか遠くにあるものではなく、非常に個人的なものなのです。ぼくの環境への関心は、自分の身体から始まっています。自分の吸う空気、食べる食物、着る衣服、住む家、これらが全て環境です。それはまさに自分の身体が常に接しているものでありながら、地球大に広がっています。個人的なことがらでありながら、同時に地球という惑星に存在する無機物を含めたあらゆるものに関係しているのです。これらのことに関係する諸問題を解決しようとすれば、個人では不可能です。逆に言えば、この世界でたった一人の人間が環境中に「毒」を出しても、それは全ての存在におよぶのです。ですから、こと環境に関しては個人主義というものが成り立たない。みな共同の責任があるんです。
 というわけで、ぼくの関心は個から始まり地球の全ての存在にいきついてしまうのです。これは誰の場合も同じです。ぼくは、実は非常に個人主義的な人間なのです。他人から干渉されるのはとても嫌なのです。ですから、ぼくも他人に干渉したくない。自分が他人に痛めつけられるのは嫌だから、ぼくも他人を痛めつけたくない。誰にもへつらいたくないから、自分もひとの上にたちたくない。自分という存在を大事にしているから、他のどんな人も大事にしたいし、人間だけでなく、この惑星に共存しているどんな存在も大切だと思うのです。
 みなさんはどう思いますか?あなたたちは「未来世代」です。どうか自分たちの生きる権利を充分に主張してください。そして、生存可能な、持続可能な地球を、次の世代に手渡してください。 ありがとう。

// メッセージここまで

津田和俊 2007年7月13日

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